
【無駄な公共事業など存在しない】
日本ではいつ頃からか『無駄な公共事業をなくせ』『採算の取れない公共事業をなくせ』という風潮が大きな力を持ってきた。
その結果であるが、日本の公共投資水準は下降を始めた。

国土交通省のデータであるが、日本の平成4年度をピークに下降し続けているのだ。
それに伴い建築業者の数も減少を始めている。
日本の建築業は公共事業により養われていたという側面があるのだ。誤解しないでほしいが、私はこのことを知ってもっとどんどん『公共事業を増やすべき』だと確信した。
このように書くと『建築業界の連中をどうして税金で養わなければならない!!』というふうに反論する人がいることは容易に想像がつく。
だが、考えてほしい。
今後間違いなく公共事業を増やさねばならないという事情が日本におとづれる事になる。
それはコンクリートの耐久年数だ。
一般的に5〜60年と言われている。現在のコンクリートは品質では100年はいけるという意見もあるが、実はそこは今回関係ない。
確かに現在の高品質なコンクリートであれば100年持つというのも十分にあるだろうが、私が問題にしているのは『過去のコンクリート建造物』である。
日本は高度経済成長期にインフラを整えた。
大体高度経済成長期は1960年代〜70年代なので、その時に作ったコンクリート建造物の耐久年数を考えれば建て替えなければならないのである。
しかし、建築業の就業者数がピーク時よりも約3割減となっており、人手が足りないことが容易に想像できるというものだ。
簡単にいえば人手が足りないのだ。

さらに問題なのは建設業界では人手不足に加えて、高齢化が進んでいるという大きな問題があるのだ。
これはさすがにマズイと国の方も力を入れて建設業界へ若い人材を就職させようとしているのだ。
私はそのために公共事業を大幅に増やす必要があると思っている。
公共事業が減少したことで建築業者が減ったことを喜ぶようでは了見が狭いと言わざるを得ない。
公共事業の減少は仕事の減少を意味するので建築業者が次々と廃業していったのだ。
公共事業は単に建築業者の支援の側面だけで考えるのではなく、『実地訓練』の意味合いを持っていたのではなかろうか?
日本の公共事業はインフラ整備だけでなく建築業者の確保、技術力向上の修練の場であったと考えると、公共事業に無駄という言葉がいかにそぐわないかが理解できる。
公共事業を減らすことで大きな弊害が出ているのはご存じだろう。
しかし、明るい話題もある。
最近、建築業の許可数が増加傾向にあるという。
建築業の技術は一朝一夕に身につくものではない。だからこそ、公共事業で建築業界の活性化を行ってほしいと心から思う。
公共事業悪魂論は完全に誤りであるし、惑わされないようにしてほしいものだ。